第3話「タイムマシンのジレンマ EPISODE 2」
私は、今日も、コーヒーを飲んでいた。
いつもの店で。
今日は、いつものキリマンジャロでは無く、ブルーマウンテンを飲んでいる。
気分転換に。
では無い!
何故なら、私は、とてもブルーな気持ちなのだ。
というのも、先日、駐車違反を免れようとして、車を失ったからだ。
(詳細は第1話を読んでね!)
思いがけない大損害。
覆水、盆に返らず。
ブラックで飲むブルーマウンテンの味が心に沁みるぜ…
マスター、おかわり。
私は、もう一杯、ブルーマウンテンを飲む事にした。
もちろん、ブラックで。
しかし、悔しい。
何とか為らんモノか?
すると、どうだ。
閃いた!
何、簡単な事さ。
タイムマシンを作って、あの日へ帰るのだ!
良し、善(?)は急げ!早速、ラボに戻って、タイムマシンを造るとしよう!
その前に、もう一杯、コーヒーのおかわりを頂こうか。
と、普段ならそう来る処なのだが、今は、もうブルーな気分じゃないので、
「今日は、この辺で勘弁しといてやるぜ!」
と店を出ようと思ったが、否、待てよ?
唯、時間を戻すだけでは、何も変わらないのでは?
否、下手すりゃ、堂々巡りになるかも?(詳細は第2話を読んでね!)
マスター、やっぱり、おかわりだ。
今度は、ミルクを、ほんの少し入れた。
新しく いつものキリマンジャロを注文するのは何故か癪だし、
かと言って、ブルーな気分じゃないからだ。
少しマイルドになったブルーマウンテンの温もりが心に安堵の時をもたらす。
私自身が過去に行くのはどうだ?
否、それでは、過去の私の未来は変わっても、肝心の私の現実は変わらないのでは?
にゃんだかんだと考えていたら、閃いた!
何、簡単な事さ。
タイムマシンに私の入るスペースを作り、タイムマシン以外の時間を戻すのだ!
これなら、私は今の記憶を持ったまま過去をやり直せる!
私は、ラボに戻ると、アッという間に、タイムマシンを完成させた。(はやっ!)
そして、中に入り、スイッチオン。
ポチッとな。
タイムマシンの中のデジタル時計が、どんどん、逆にカウントして行く…
そして、あの日へと、辿り着いた。
私は、いつもの店へ行き、いつものコーヒーを飲みながら考えた。
もちろん、どうしたら、駐車違反を免れるかでは無い。
タイムマシンの有効利用をだ。
いつものキリマンジャロが、いつもより、美味しい。
ほら、閃いた!
月並みだが、
ロットー式宝くじの当選番号、競馬の着順番号等の情報を集めて、
過去に戻り、買い漁るのだ!
私は、幾度も、それを行った。
「私はもう知っている。」
あ~たたたたたたた…、当たった~!
百発百中だ。
他にも、失敗したり、嫌な事があれば、タイムマシンにお世話になった。
私は巨額の富を築き、栄光を欲しいままにした。
私は、無敵になったのだ!
数ヶ月が経ち、久し振りに、知人と再会した。
「あれ?
Dr.ニャンダさん、暫く見ない内に、随分、老けちゃいましたね~。」
「そうかい?」
「ええ、年上の私の方が若く見えますよ、絶対。」
更に、数年後…
Dr.ニャンダ、死亡。
死因、急激な老化現象による衰弱死。
「Dr.ニャンダさん、原因不明の病気だったらしいよ。」
「アレだろ、アレ。
急性老化症候群ってヤツ、新病なんだってな。」
「「コエ~!」」